中小企業にも必要なオープンイノベーション
オープンイノベーションは大企業だけが行うものだろうか?いや違う。
平成29年版科学技術白書では、中小企業にもオープンイノベーションが必要だとうたっている。
研究開発を行いイノベーションを起こすのは大企業だけではない。大企業が直面している経営環境やイノベーション活動上の課題と同様の課題は、中小企業にも大なり小なり影響している。大学等と企業との共同研究・受託研究件数を見ると、うち中小企業との共同研究件数は全体傾向に比べれば緩やかではあるが伸びている。一方、受託研究件数については中小企業の割合が増加しており、オープンイノベーションの潮流は中小企業にも流れている(第1−1−13図)。
中小企業の中には垂直連携型の企業連携の中での大企業の下請け体質を脱却し、自ら市場と向き合い需要を獲得するとともに、国際市場を開拓しニッチ分野で高いシェアを獲得する企業(グローバルニッチトップ企業)や、世界的な視点と地域に根ざした活動を両立する企業(グローカル企業)を目指すなど、自社独自の強み、付加価値を育てていく動きがある。また、中小企業の稼ぐ力に着目した2016年(平成28年)版中小企業白書では、高収益企業は計画的かつ積極的に投資を行いリスクへの備えも行っていることを指摘している。国はこのような取組に積極的な中小企業を支援する環境を整える必要がある。
中小企業の中には、世界の市場でもトップシェアを占めるような高い技術力を保有する企業も少なくない。また、大企業にとっても、中小企業はなくてはならないパートナーとして存在している。中小企業には、イノベーションの種となり得る優れた技術があり、共同研究によってそのリソースを活用することがオープンイノベーションの時代に期待されている。
(出典 平成29年版科学技術白書)
また、実際の中小企業においても数年前からオープンイノベーションの必要性を感じている企業もいる。
中小企業こそオープンイノベーションが大切になる時(堀江織物株式会社 2015)
我々中小企業診断士もオープンイノベーションを理解し支援先企業に必要によっては助言していくことが必要だろう。